【開催レポート】
「日本におけるオープンバッジ/デジタルバッジの
現状と課題、そして未来」セミナー

2026年7月3日(金)に一般社団法人デジタルテスト推進協会(DiTA)主催による「日本におけるオープンバッジ/デジタルバッジの現状と課題、そして未来」セミナーを開催しました。

当日は、オープンバッジやデジタル認定証の提供・活用に関わる様々な団体や企業が登壇し、日本市場における普及状況や直面している課題について、情報共有と意見交換が行われました。

近年、オンラインでの学習や資格取得が増加する中、獲得したスキルや学びを客観的に証明できる「デジタル認定証」への注目が集まっています。本セミナーでは、市場での普及状況から、国内での活用に向けた具体的な課題まで、多角的な視点で議論が行われました。

本レポートでは、当日の講演およびパネルディスカッションの内容を中心に、その概要をお伝えします。

【当日の様子をご紹介】

開会の挨拶

一般社団法人デジタルテスト推進協会(DiTA)
理事長 佐藤信也

最初に、一般社団法人デジタルテスト推進協会(DiTA)理事長の佐藤信也より開会の挨拶があり、DiTAの活動状況とデジタルバッジへの期待について共有し、セミナーの幕が上がりました。

イントロダクション

学習/受験サイクルにおけるデジタル認定証の位置づけ

ナショナル・コンピュータ・システムズ・ジャパン株式会社
(ピアソン・プロフェッショナル・アセスメント )
代表取締役 満留俊介氏

セミナーの冒頭では、ナショナル・コンピュータ・システムズ・ジャパン株式会社の満留氏によるイントロダクションが行われ、デジタル認定証(デジタルクレデンシャル)の定義や、受験・学習プロセスにおける位置づけが共有されました。

獲得した資格や学びをデジタルで可視化し、客観的かつ裏付けされた証明としてSNS等で発信・共有可能になるという特徴が示されました。

講演①

デジタル認定証の目的と種類の整理、グローバル市場での普及状況

日本経済新聞社 ライフ&キャリアビジネス プロダクトグループ 
パートナー事業チーム 部次長 井手英斗氏

日本経済新聞社の井手氏からは、デジタルバッジの国際規格である「OpenBadges(ハンコ方式)」と「Blockcerts(ブロックチェーンによる台帳方式)」の違いや特徴について解説がありました。

グローバル市場、特に北米ではスキル重視の採用やSNSでのスキル共有文化を背景にデジタルバッジ市場が急成長している一方、日本では紙の証明書への信頼が厚く、発行から「採用や配置に活かす」段階への転換が課題であることが指摘されました。

講演②

各社の取り組み状況と課題

続いて、実際にデジタルバッジの提供や活用を進めている5社から、取り組みと課題が共有されました。

一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク 理事 事務局長 吉田俊明氏

累計269万個のバッジを発行する中立的な共通基盤として、大学等での一括発行の事例や、就職活動でのアピール成功例などが増えている現状が報告されました。

一方、発行は進んだものの、「受け取って使う側」である企業の採用・人事における活用が今後の課題として挙げられました。

株式会社インフォザイン 取締役 CBTビジネス部長 永井正一氏

「学ぶ→測る→証明する」の学習サイクルの中で、CBT(アセスメント)と連携したオープンバッジの発行運用を支援していることが紹介されました。

課題として、発行側での「なぜ紙ではなくバッジか」という社内説得や、受領側での「もらった後にどこで使えるか」というメリットの提示が必要であることが共有されました。

株式会社デジタル・ナレッジ デジタルバッジ推進事業部 事業部長 中田康宏氏

教育を提供する団体や企業向けにデジタルバッジ発行基盤を提供する取り組みが紹介されました。

大学やMOOCでの学びと、企業が求める実務スキルをマッチングさせる「知識の構造化」の必要性が、学習歴の社会実装に向けた技術的突破口として提案されました。

株式会社日本経済新聞社 ライフ&キャリアビジネス プロダクトグループ 
パートナー事業チーム 部次長 井手英斗氏

人的資本経営の文脈から、企業におけるDX人材やAI人材のスキル可視化ツールとしてバッジ導入が進んでいる現状が紹介されました。

日々の業務システムに溶け込ませることの重要性や、国内エコシステムの共創が業界全体の課題であることが語られました。

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)
情報システム部長 中村淳哉氏

TOEIC公開テストにおけるブロックチェーン技術を用いたデジタル公式認定証の導入事例が紹介されました。

企業側ではURLによる提出が受け入れられつつあるものの、大学入試等では依然として紙(PDF印刷)の提出が求められる傾向があり、一律的なデジタル化の難しさと、日本におけるデジタル資格確認のエコシステム構築の必要性が指摘されました。

パネルディスカッション

ファシリテーター
株式会社教育測定研究所 代表取締役 西田紀子氏

パネルディスカッションでは、会場からの質問を中心に、デジタルバッジが普及する上での障壁や解決策について議論が交わされました。

企業内での浸透においては、単なる証明書としてだけでなく、タレントマネジメントやエンゲージメント向上といったプラスアルファの価値をどう提示するかが重要であるとの意見が出されました。

また、大学での入学時からのバッジ付与など、若年層からの普及が将来の社会実装に繋がることへの期待や、費用対効果の観点から業界全体でエコシステムを構築し、利用者を増やしていく必要性が共有されました。

まとめ

ナショナル・コンピュータ・システムズ・ジャパン株式会社
(ピアソン・プロフェッショナル・アセスメント)
代表取締役 満留俊介氏

最後にナショナル・コンピュータ・システムズ・ジャパン株式会社の満留氏より、デジタルバッジが単なるスキルの可視化を超え、企業でのジョブマッチングや採用のミスマッチ防止に繋がる可能性についてまとめられました。

個人がスキルを発信し、企業が求めるスキルを明示するという双方向のアプローチが進むことで、デジタル認定証の普及が加速することが期待されます。

DiTAとしても、引き続きデジタルテストとデジタルクレデンシャルの推進を支援していくことが述べられました。

一般社団法人デジタルテスト推進協会では、本協会の趣旨に賛同し、一緒にデジタルテストの推進にご協力いただける法人会員、賛助会員の方々を募集しております。入会に関してご興味がおありの方は、問い合わせフォームよりご連絡お願いいたします。