2026年2月13日(金)、一般社団法人デジタルテスト推進協会(DiTA)の主催による「デジタル庁『デジタル認証アプリ』を利用した不正対策と活用事例セミナー」を、学研ビル3階ホールにて開催しました。当日は、試験に関係するさまざまな団体・企業が一堂に会し、本人確認や不正対策をめぐる現状や課題について、情報共有と意見交換が行われました。
近年、各種試験や資格制度、デジタルサービスの普及に伴い、本人確認の在り方や不正対策の高度化が社会的な課題となっています。本セミナーでは、デジタル庁が提供する「デジタル認証アプリ」を軸に、行政・大学・試験業界・民間事業者それぞれの立場から、実際の導入事例や直面している課題、今後の業界横断的な取組みの可能性について共有・議論が行われました。
本レポートでは、当日の講演およびパネルディスカッションの内容を中心に、その概要をお伝えします。

一般社団法人デジタルテスト推進協会(DiTA)
理事長 佐藤信也
セミナーの冒頭では、一般社団法人デジタルテスト推進協会(DiTA)理事長の佐藤信也より開会の挨拶があり、本セミナーの開催趣旨や、試験業界において不正のない、信頼性の高い試験環境を構築していくことの重要性について述べられました。
講演1
デジタル庁 国民向けサービスグループ 政策推進スペシャリスト
松﨑 雄汰氏
デジタル庁の松﨑氏からは、「デジタル認証アプリ」の概要および今後のロードマップについて説明がありました。デジタル認証アプリは、マイナンバーカードとスマートフォンを用いて、オンライン・対面を問わず高い信頼性の本人確認を実現する仕組みであり、マイナンバーそのものを利用せず、電子証明書を活用した安全な認証・署名が可能である点が紹介されました。
また、2024年6月のリリース以降、自治体や民間サービスなど幅広い分野で活用が進んでいることに加え、2026年夏頃にはマイナポータルアプリとの統合が予定されており、今後さらなる利便性向上と活用範囲の拡大が期待されることが共有されました。


講演2
東京大学大学院理学系研究科 情報システムチーム
助教 本城 剛毅 氏
東京大学の本城氏からは、「UTokyo Account 本人確認サービス」における
デジタル認証アプリの導入事例が紹介されました。
東京大学では、パスワード忘失や多要素認証の再設定時における本人確認に人手による対応が必要であることが課題となっていました。デジタル認証アプリの導入により、マイナンバーカードを用いた高精度な本人確認を自動化し、工数削減や対応時間の短縮、セキュリティ向上を実現している点が紹介されました。
パネルディスカッション1
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会 情報システム部長 中村淳哉氏
プロメトリック株式会社 副社長執行役員 滝田裕三氏
パネルディスカッションにおいては、まず初めに各社の取組紹介と課題が共有されました。試験主催団体として一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会の中村氏、および試験配信企業としてプロメトリック株式会社の滝田氏が登壇し、試験運営における不正対策の現状と課題が共有されました。
替え玉受験や身分証の偽造・改ざんなど、複合的な不正への対応が求められている中で、「試験を受ける場面」における本人確認の強化や、本人確認手法の統一化の必要性が指摘されました。


パネルディスカッション2
デジタル庁 国民向けサービスグループ 政策推進スペシャリスト 松﨑雄汰氏
デジタル庁 国民向けサービスグループ プロダクトマネージャー 青野彰太朗氏
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会 情報システム部長 中村淳哉氏
プロメトリック株式会社 副社長執行役員 滝田裕三氏
試験業界への適用案として、プロメトリックからは、マイナンバーカードや「デジタル認証アプリ」を活用した本人確認の厳格化と、運用効率化の両立について提案がありました。あわせて、卒業証書や合格証のデジタルバッジ化といった将来的な活用の可能性についても言及されました。
国際ビジネスコミュニケーション協会からは、現状の課題を踏まえ、当面は独自方式による本人確認を進めていく方針が示されました。
デジタル庁からは、マイナンバーカードと運転免許証・在留カードの一体化の検討状況や、顔写真情報・ローマ字氏名対応に向けた取組みについて説明がありました。また、対面確認アプリの活用事例についても紹介され、今後の活用可能性が示されました。
パネルディスカッション3
デジタル庁 国民向けサービスグループ 政策推進スペシャリスト 松﨑雄汰氏
デジタル庁 国民向けサービスグループ プロダクトマネージャー 青野彰太朗氏
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会 情報システム部長 中村淳哉氏
プロメトリック株式会社 副社長執行役員 滝田裕三氏
不正受験対策として、本人確認の一層の強化や、業界全体での情報共有の必要性が提案されました。特定の団体・企業単位での対応にとどまらず、試験業界全体として共通課題に取り組むことの重要性が改めて確認されました。
また、マイナンバーカードを活用した本人確認の推奨や、デジタル社会全体の信頼性向上に向けた取組みが、今後の方向性として示されました。


株式会社 Gakken LX 清水夏海氏
最後に、ファシリテーターの清水氏より、試験業界における傾向と課題が共有されました。
「デジタル認証アプリ」やマイナンバーカードの活用推進に加え、業界全体での情報共有やセキュリティ強化を進めていくことが、今後の方向性として示されました。
DiTAとしても、こうした議論を踏まえ、信頼性の高い試験環境の実現に向けた取組みを支援していきます。
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